ケンプはブランドを始めたきっかけについて、「浪費的で非生産的な業界システムが根本的に変わるべきだという思いからブランドを立ち上げた。ファストファッションだけではない、ラグジュアリーファッションこそ問題を直視すべき」と熱を込めて話し出した。「生産スピードを早める新たなビジネスモデル(See now, Buy now)や、クオリティではなく見た目や話題性重視に洋服を使い捨てる考え方は、”ラグジュアリー”の本来の意味に背いている。業界に身を置きその不循環なシステムを目の当たりにし、環境問題に関する様々な事実を知っていくうちに、私たちの未来のために自ら行動しなければと思ったんだ」
モンクレール - Wikipedia
確かにファッションは、最も環境汚染に加担する産業だと唱えられている。洋服の素材の約3割を占める綿は、肥料として大量の化学製品が使用され、染色の際の重金属や環境ホルモンなどの化学物質は川や海を汚染する。さらに、Tシャツ1枚をつくるのに必要な水の量は1日の飲料水の約5年分という大量の水が要される(平均飲料水一人あたり約1.5リットルと仮定)。ファッション産業は年間12億トンの温室効果ガスを排出し、これは航空産業が排出する量よりもはるかに上回っている事実も明らかになった。
これだけの犠牲を払って洋服を生産しているにもかかわらず、年間ファッション業界の衣料廃棄量は9200万トンにも及ぶ。年々増え続けているという廃棄量の背景には、ファストファッションの流行と、トレンドの細分化があると言われている。「廃棄物に命を与える。倫理的で、創造性を掻き立てられるプロセス」とアップサイクルの意義についてケンプは語る。
http://www.77copy.com/brand-523.html
「オランダを中心に、ヨーロッパ諸国で廃棄物である古布を見つけてくる。一期一会の古布との出会いも、制作過程の楽しみのひとつ。いいものがあればとりあえず集め、それからデザイン画を描いたり、実際にドレープを作ってみたりと制作へと取り掛かる」。オートクチュールデザイナーのケンプは、すべての過程を手作業で行うという。通常の制作と違うのは、古布の清掃に労力と費用がかかるところ。